ファッション業界では毎年秋冬シーズンにベロア素材を使った商品が一定の人気になりますね。
主にジャケットなどに使われる事が多い素材です。
ところでベロアと同じような見え方をする生地で、ほかにベッチンとベルベットがありますが違いを理解していますか?
販売員の中にはこの3つをまったく同じ生地だと思っている人が少なくありません。
販売員だけではなく、デザイナーや企画担当者でも同じ生地で呼び名が違っているだけだと思っている人も少なくありません。しかし、それは間違いです。
この3つの生地は見た目は似ていますが、あきらかに別の生地なのです。
ブランドの商品紹介でも同じように書かれているものも少なくなく、呆れ果てるほかありません。
まず、ベロアは編み物なのです。
ニット、ジャージという方がわかりやすいでしょうか?
これに対して、ベッチンとベルベットは織物なのです。
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で構成されている織物です。
さすがに販売員のみなさんは、編み物と織物の違いはわかりますよね?
ワイシャツの生地は織物、セーターやTシャツは編み物です。
ポリウレタンなしでの伸縮性がまったく違います。
編み物と織物の違いを知りたい方はこちら
「生地の織り方は3種類しかない 織りの三原組織について」
ベッチンとベルベットの違い
じゃあ、同じ織物なのにどうしてベッチンとベルベットは違うのでしょうか?
同じ織物でも織り方が異なるのです。
異なる織り方で結果的に似た見た目になっているのです。
イルカと鮫は哺乳類と魚類でまったく異なる生物ですが、見た目が似ています。
それに近いことが起きていると考えてください。
まずベッチンはコーデュロイの仲間です。
コーデュロイがベッチンの仲間といったほうが良いのでしょうか。
ベッチンはベルベッティーンとも呼ばれます。
おそらく、ベルベッティーンが正式名称で略してベッチンになったのではないかと思っています。
基布から上に向けてループ状の糸が出ており、そのループの中心部を切断することで毛足ができます。
あとはその毛足を刈り揃えて整えればできます。
主に綿素材が使用されます。
ベルベットはビロードとも呼ばれ、漢字では天鵞絨とも書きます。
二重織りの一種で、上と下の生地を糸でつないで織られて、それを真っ二つに切り開くことで毛足のある生地になります。
これがベルベットで、主に絹やレーヨンが使われます。
言葉だけではわかりにくいので、こちらのサイトを貼っておきます。
模式図が書かれてあるのでわかりやすいのではないでしょうか。
http://corp.world.co.jp/fashion/material/
この記事にはベッチンは綿ビロードとも呼ばれており、素材は綿が主でありタタミ目のような表面の浮き上がった中央部をカッターで切ることで1枚の立毛品ができる。
ベルベットは素材はレーヨンや絹などのフィラメント糸を用いているものが多く、一度に2反分を織り上げながら、間にパイルになる糸を組み合わせていき、最後に生地の間にナイフを入れて切り開くことで、同時に2枚の立毛の織物ができあがる。
ベロアはブラッシュと同義語で、パイルをカットして長い毛羽を表面に出した織物。
ベルベットよりも毛羽は長く厚みがあり、ベロア仕上げした紡毛織物のことでドレスやコートなどに使われる。
ブラッシュ編のパイルをカットして、短いビロードのような毛羽を立てたニットベロアのことと記載されていますね。
ちなみにフェイクファーの製造方法もこのベッチン、ベルベットと同じです。
毛足が短ければベッチン・ベルベット、長くてふさふさならフェイクファーです。
またニットのフェイクファーはベロアの仲間ともいえます。
こんなふうに見てみると、生地というのはなかなか面白いものです。
販売員のみなさんも正しい生地の知識を身に着けると、販売の仕事に役立つと思いますよ。
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