こんにちは、森野です。
セール期は動員がかかり、普段お越しにならないお客様も多くなります。この傾向は1月下旬くらいまでは続きますね。
商品も店頭に溢れ、アパレル販売員はその整理で一日が終わる始末。
集中力が薄れ、気のきいたひと言はおろか、必要なひと言までも出なくなってしまう。
そんなときに起こるのが、クレームです。
今回はその対応について、焦らず、できるだけ良い方向に運べるような〈ガイドライン〉を書きます。
ところで、その前に。
「クレームは突然やってくる!」なんていう記事を読んだり、講習を受けたりしたことはありませんか?
変なこと言うなぁ、と思うのです。
冒頭に書いたように、日頃のある状況を受けての結果なので、クレームは突然には起こりませんし、もし起こったらそれはただのクレーマーです。セール期以外でもどんな内容でも、クレームの原因は少し前から始まっているものです。
買っていただくときは、頭と心を使って良い接客をした結果です。もしくは、商品がとても良かった。
クレームになるときは、頭と心が使いきれず良い接客ができなかった結果です。もしくは、商品が相当おかしかった。
クレームも販売も、接客の流れの中の一場面。別物として身構えず、お客様それぞれに合った内容で対応しましょう。
最初に謝ろう
全てお店に非があるとは限らないのに、謝ったら非と認めたことになるんじゃないか?そう思う方もいるかもしれませんが、ここでのお詫びは「まだ話は聞いてないから何があったかよく分からないけど、私のお店の商品(または接客)によってお客様を不快な気分にさせているように見えます、申し訳ございません」という意味の「申し訳ございません。」です。
万が一、相手が犯罪レベルのクレーマーで「最初に謝ったじゃないか、非を認めたんだろう?!」と言われたとしても、上記の意味の謝罪です、の主張は通ります。言った言わないの押し問答ではなく、謝ったのは話をよく聞く前という事実がありますから大丈夫です。
お客様が今感じている不快感や不安感について、まず謝るのは、当然のことです。
話をよく聞く、察する
接客して商品を買っていただく際も、お客様のようすをよく観察して話を聞くと思います。
以前のブログで、接客中には「お聞き出し」ではなく「しゃべってもらう」のが一番と書いたことがあるのですが、クレーム対応も同じです。
一体何があったのか、どうしたいのか、どうして欲しいのかをしゃべってもらいながら、要点を把握し、お話に矛盾が無いか確認して擦り合わせていきます。
一方的に話をしてもらうのではなく、ところどころで復唱しながら、お互いの認識を一致させていくこと、一致しているか確認してもらいながら話を聞くことが大切です。
クレームは上司への報告が必須ですが、ここできちんとお話を聞いて整理できていれば、対応を引き継ぐ場合、判断を委ねる場合があっても、必ず上手くいきます。
できることを提案する
たまに、ものすごくご立腹なお客様が、どうして欲しいかはおっしゃらず「どうしてくれるの?」と詰め寄ってこられることがあります。その場合、まずは恐がったりオドオドするのをやめましょう。
恐がっている空気を出すと、あなたに悪気はなくても、その場面で自分(販売員)は弱く、相手(お客様)が強いという位置づけを表すことになります。
すると“弱いものを困らせている”お客様を一発で悪者に仕立てあげてしまうのです。
それを感じ取ったお客様は「困ってるのはこっちなんだけど!」という新たな不快感を持たれます。実際に迷惑を被り、いつも通りの一日が過ごせずにいるのはお客様の方ですから、当然ですね。
さて、「どうしてくれるの?」といきなり言われたら、答えるべきは、こちらが何をできるかということです。ここでひたすら謝ってもだめです。
一存では判断できないことも多いはずですから、上司に相談するにも「いつ・誰が・何を・どうしたら・どうなった」くらいは、教えてもらってください。
対応策のご提案はそれからです。
さいごに
きちんと対応するためには時間がかかる場合がほとんどです。困っているひとをただただ待たせることは、不安の増長にしかなりません。責任者が不在、本社が休み等の理由で時間がかかりそうだと思ったら、時間の目安と改めてのご連絡をしたい旨を伝えましょう。
以上です。
あとは、お客様の都合、心境、ご希望、館や会社のルール等々で自然と着地点が決まってきますからそれにしたがってください。
対応の最中に、何か噛み合わない、ご要望が二転三転するなどがあれば、お話を素直に聞けていないか、お客様に多少の悪意なり隠し事があると見てよいでしょう。
キャリアの長さに関わらず、売れるアパレル販売員は、クレーム対応も上手だと感じます。クレームのお申し出すら、結果クレームにしない、という接客スキルも持っていたりします。
奥が深いですね。