『リブ』って一言で言わないで。という編み地たちの気持ち。

最近の僕はこんな言い方はしませんが、生産してくれる人に向かって知ったかぶりを決め込んで『知識持ってますノリ』でブッ込んでいくと返り討ちに合うので気をつけたいところです。
知らないことは恥ずかしいことではないので、素直に聞きましょう。そして学べば良いのです。

さて今回は丸編みでも名脇役、フライスとテレコについて書いてみたいと思います。

前回の投稿で丸編み生地の入り口である天竺を紹介しました。

多くのTシャツの身生地は天竺です。でも、その襟の部分は様々です。そのTシャツ、ほら襟の部分、違う雰囲気の生地で出来てませんか?

そう、身生地と同じ生地で襟を作っているTシャツもありますが、Tシャツの多くは違う布で作られていることが多いです。よく説明文とかで『リブ』って書いてある別布のことです。なんで『リブ』っていうかというと、『RIB』あばら骨(スペアリブ)の形状に似ている畝状の生地だからってことになってるのが有力説です。

 

じゃあその『リブ』っていう編み組織はなんぞやと。

 

実は、僕ら丸編み生産現場では「リブ作ってください」なんて編み工場に指示しません。そんな指示したら、「リブって何や?」状態です。(すみませんちょっと大袈裟に書いてます)

付属の『フライス』とか『テレコ』っていう伝え方をします。

 

ここでもう一回Tシャツを見てみましょう。

こんなのや

こんなのが襟についてませんか?リブって呼んでる部分のそこ。

上のが『フライス』で、下のが『テレコ』です。

 

なんで襟に『フライス』や『テレコ』を使うかというと、天竺より伸び縮みしやすい組織だからです。頭の通り道の襟が伸びなかったら、頭通りませんからね。なんで伸び縮みしやすいかというと、編み組織の略図をみてもらうとイメージ沸きやすいかと思います。↓

編み目と編み目の間の糸に遊びがありますよね。これが伸び縮みの余白です。ちなみに身生地に使われている天竺はこんな感じなので、伸び縮み余白の差は歴然ですよね。

 

このフライスとテレコ、もちろんそれ自体も身生地として使われることだってあります。フライスはベビー向けでも多いですし、テレコはインナーなんかでタンクトップになったりしてます。でもおそらく、皆さんはスウェットやTシャツのリブ部分として触れていることが多いのではないかと想像します。なので、あえて冒頭では丸編みの名脇役と紹介させてもらいましたが、丸編みダブル組織(ちなみに天竺はシングル)の中でも基礎になってくる編み地なので、知っておくともしかしたら後々便利かもしれません。もちろん生地作っている人は必須ですが。

 

「これはリブ部分がテレコ組織になってるので、着た時にウネが際立って少しアクセントになりますよね〜」なんて言ったら、ちょっとプロっぽくないですか?違いますか、そうですか。

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山本晴邦
About 山本晴邦 18 Articles
新潟県、佐渡市の達者という小さな集落にて生まれ育つ。 縫製業を営む母に影響を受け、高校卒業後に洋裁専門学校へ進学。 専門学校在学中に和歌山の丸編み生地工場の東京営業所でアルバイトに付きそのまま就職。 工場作業から営業まで経験し13年間同社にお世話になり独立。ulcloworksを立ち上げる。 原料から糸の作り方、生地の編み方や染め方を常に探求して日々研究に勤めている。 業界の将来に繁栄をもたらすにはどうしたら良いのかを常に考えている。