もうわたしたちの生活に切っても切り離せないインターネット。
インターネットがもたらした変革はとても唐突だったように語られますが、わたしたちの業界は何が変わったのだろう。
いつの間にか「インターネットの人ですよね?」と言われるようになってしまったわたし。
いいえ違います、ウニとか焼肉とかをインターネットの人と食べに行ってるだけです。
コレクションブランドにいたし赤文字系でデザインもしてたの!!信じて!!!!
自分の経歴を自分で喋って信じてもらえないなんてことがあるんでしょうか、いやない。
最近は人間であることすら驚かれるようになってしまいました。
こういうところが非常にインターネットっぽいのですが。
情報スピードの差異がフラットに
専門学校卒のわたし。同様の経歴の方は多分これを習ったひとも多いはず。
トレンドのヒエラルキー。
トレンドセッターのような一握りの人間から、どんどんマスに落ちていく。
業界にはマス落ちという言葉があるほど、この構図は未だに固定概念として存在します。
しかし、ほとんどこの構図は崩壊したと言っていいのではないでしょうか。
コレクションやショーはストリーミングでライブ配信され、
高い本を買わなくてチェックできなかったルックは、ネット上で無料で公開されています。
そう、コレクションはメディア関係者やバイヤーのみが入れる閉ざされた場所ではなくなりました。
インターネットは情報を民主化しました。
希少で価値があった情報はだれでもアクセスできるように。
情報伝達の差で商売を生んでいた一端がありましたが、そのシステムは機能しません。
全員発信者の時代
何かを発表する。自己表現する。
その発信する力を持つには、資本や特別な力が必要だった時代。
インターネット時代は、全員が発信者。
総メディア時代の到来です。
インスタグラムやtwitterはもちろんのこと。
そのフォーマットが嫌ならオリジナルブログだって作れちゃう。
こだわり始めたらキリがないですが、無料でも様になるものが作れます。
先の情報のフラット化により、トレンドを発信するのもいまこれがいい!を発信するのも
もう業界でパリコレを見にいく、もしくは服を作る人には留まりません。
でも、これってライターやバイヤー、ジャーナリスト、しいてはデザイナー不在でOKという話では決してない。
一次情報はオープンであることが望まれるインターネット時代においても、まだまだクローズドな部分も多いファッション業界。
でも、それを自分なりに解釈してキャラクターとともに曝け出すというのはもう一次情報以外の付加価値が伴っている。
ネットの普及で雑誌が売れなくなった、なんて言いますが確かにわたしもファッション誌を買うことが減りました。
dマガジンで読めちゃうので・・・大抵。
それでも何冊か購入する雑誌があります。
思い返してみれば、ほとんどがマガジンハウスの雑誌ですが
①プロダクトとしてデザインそのものが秀逸な雑誌
②今後数年間は特集されないであろう内容
③興味のある内容についてこの雑誌なら面白い解釈が読めそうだと感じる
この三つは総じて購入するようになっています。
情報の価値でいえば②と③はまさにそうで、時には5000円ほどのセミナーに値するのでは?なんていう内容も盛り込まれていて手にとる回数が多いです。
一億総メディア時代なんていいますが、こんなのは全然ダメです。
おなかすいたかなしい
— ひがしだうに (@Yukimi000) August 24, 2017
これは悲観するようなことじゃない
こういった話をすると「じゃあどうしたらいいんだー!!」
「ファッション業界はもうだめだー!!」という声が(業界内の)あちらこちらから上がるのがインターネットで。
まあまあ、落ち着いてお茶でもどうぞ・・・とお茶を出したくなるんですがどうでしょう。
わたしはアルコールにしますけど。
さておき、インターネットから絶大な影響を受けたファッション・アパレル業界。
でもそれは、親和性があるということの逆説であると捉えることもできるのではないでしょうか。
B to Cがここまで注目されるようになったのは、消費者の情報量、知識量が上がり”購買決定に専門家を介さなくてもよい”という考えが広まったことも考えられます。
じゃあ、デザイナー、販売スタッフをはじめ私たちは”専門家”ではなくなってしまえばよいのか。
それはたぶんNOで、それだけでは難しいですよ、ということが可視化されただけだと言えます。
そう、すべては可視化され、オープンにされただけ。
そして作り手・ブランドとユーザーの関係性は三角形のヒエラルキーではなく、限りなくフラットに近づく。
とはいえ、女性の社会進出を推し進めた結果、最近の女子学生からの相談は「主婦になりたい」が増えてきて、レコードなど物質への回帰ともとれる動きもみられます。
今の状況がもいつまで続くのかというのはわかりません。
でもファッションが”全く同じ流行”を繰り返さないように同じ時代も巡らない。
5年後を見据えてどう動くかは一つの鍵ではないでしょうか?