販売員こそ生地や素材の基礎知識が必要だと思う理由

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トップセラーの読者には販売員が多いと思いますが、当方も実はいまだに販売として店頭に立っています。

もともと大学卒業後、持ち前のダメさが災いして販売員しか内定がもらえず、3年くらい販売員として働いていました。

いろいろとあって、記者・ライターになりましたが、またいろいろとあって2009年に独立する羽目になりました。

 

やりたいこともさほどなかったし、儲けられるスキルもノウハウもなかったので、独立後4年くらいは非常に生活に困窮しました。(笑)

山上憶良のごとく、貧窮問答歌でも詠もうかと思ったほどです。

 

2014年くらいから徐々に収入が増えてなんとか生活できるようになったわけですが、その時に収入の一端としてバッタ屋でのアルバイトを始めました。(笑)

受け入れてくれたバッタ屋には感謝しかありません。

 

当方は決して愛想の良い販売員でもありませんし、売るのが上手い販売員でもありません。

短気ですので、意味の分からない質問をしてくるお客にはだいたいイラっとします。

 

それでもある程度平均的に売れるのは、生地・素材に関する知識が役立っているからだと思います。

よくあるのが

「この服、洗ったらシワになる?」とか「色落ちする?」

という質問ですが、この世に洗ってもシワにならない服や色落ちしない服は存在しません。(笑)

 

とはいえ、綿100%よりはポリエステル100%の方がシワになりにくく、色落ちもしにくいものです。

ですから、生地の組成を見て、ポリエステル100%とかポリエステルが多く含まれている物に対しては

 

「綿100%よりはシワになりにくいですし、色落ちしにくいですよ」

 

と答えると、多くのお客が購入に至ります。

もちろん綿100%でも布帛よりはニット、ジャージなどの編み生地の方がシワになりにくいですし、染色に関しても製品染めよりはトップ染め(ワタの段階で染色する)や先染め(糸の段階で染色する)の方が色落ちしにくいということはあります。

 

素材関係者からすると極めて初歩的なことしか話していないのですが、実はその「初歩的」なことすら消費者は知らない場合が多いのです。

 

バッタ屋にはB品も入荷します。B品には、何かで引っかけて生地から糸が飛び出た物が多くあります。

生地から糸が飛び出た物をそのまま「糸引きあり」と表示して売るのですが、お客に処置を尋ねられた場合、布帛(織り生地)ならその糸を切除しても問題ない場合が多いことと、編み生地ならかぎ針にひっかけて裏側に出すことを伝えます。

なぜなら、生地の構造が異なり、織物は何千本という経糸と緯糸で構成されているため、1本を切断してもそこから生地がほどけて穴が開くということはほとんどありません。

しかし、編み生地は少ない本数の糸同士を編み上げているため、1本を切断するとそれがほどけてしまいます。

 

本当に初歩的なことですが、こういうことを伝えるとだいたいは購入につながります。たまにその場で実践することもあります。

布帛生地ならハサミで飛び出た糸を切除しますし、編み生地ならかぎ針に引っかけて裏に持っていきます。

 

何が言いたいのかというと、販売員こそ生地や素材の知識が必要なのではないかということです。高度な知識は必要ありませんが、初歩的な知識は持っておく必要があるでしょう。

当方みたいな販売員でも平均水準前後は売れるのはひとえにそれがあるからです。

 

 

 

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南 充浩
About 南 充浩 161 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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