仕入れ方法に正解はある?

こんにちは!隔週木曜MD&営業のNaruです!

皆さま店頭の状況はいかがでしょうか。
巷を騒がす新型コロナで入店は減ってますよね。
入店に関してはどうしようもないのが現実。
そんな時の対策は1点単価やセット売りをアップする”ヒト”の面での接客意識や目標を共有していきましょう。
並行してやらなきゃいけないのは他店の情報収集!限りある入店やお客様のシェアを増やすために他店のレイアウトや押し出しているアイテムには注目していきましょうね!

そんなわけで今回は営業について!

百貨店に対する営業、つまり商品をやり取りする上では当然仕入れが起こり、一般的に2種類の仕入れ方法があります。
さらにそこに付随する掛け率の設定は大きく人件費や販管費に関わっていきます。
今日はそんなお話の導入を!
次回で人件費や販管費のお話につなげていきますね!

掛け率ってなに?

ブランドの路面店なんかで働いてる方だとあまりピンと来ないかもしれませんね。
卸でよく使うワードですからね〜!

路面店の場合、たとえば、原価が3000円、定価が1万円の商品をブランドの路面店で販売するとなると粗利益は定価-原価なので7000円ですよね。
これを月の売上で100個売れたとして70万円。これが月の粗利益になります。
これに対して諸々人件費やショップの維持費などが引かれたものがブランドの利益となるわけです!

一方、卸になってくると掛け率というものが設定されます。
たとえば、定価1万円の商品で掛け率が60%となれば6000円が自ブランドの上がりです。
卸先(百貨店やセレクトショップ)としては6000円のコストを支払って上がりが4000円になるわけです。

ここでさらに大切なのが仕入れ方法!
大きく分けて買取と消化の2つに分かれます。

買取仕入れ
その名の通り商品をブランドから買い取って販売していくスタイル!
卸先(販売店)側もしっかり買い取ってリスク背負って売らなきゃいけない!
ブランド側は売れる売れないに関係なく卸先に買い取ってもらったらその時点でお金になります。
設定掛け率が60%の場合。1万円の商品を納品した時点で6000円がブランド側に入ります。
ブランド側としては概ね掛け率は低い。

消化仕入れ
売上仕入れとも言われます。
卸先に商品を納品して売れれば設定した掛け率分の金額がもらえる!
たとえば、消化仕入れで70%の掛け率設定をしていた場合。1万円の商品が卸先で売れた時に7000円がブランド側に入ります。売れたらお金に。
ブランド側としては概ね掛け率は高い。

もちろん直営店や自社オンラインストアのみの展開でバッチリ売上が取れればこんな所場代払わずに高い粗利益が取れちゃうんですが、新しいブランドやブランド力に弱みがある場合、卸売で知ってもらう場所、オフラインでの繋がりを大切にしているブランドが多いのも事実ですよね。

じゃあそれぞれどんな問題がある?

買取仕入れの問題

販売先からすれば、盗難や紛失は全て自分たちの責任になります。
さらに、売れ残りのリスクを背負って販売をしなければいけません。

ブランド側からすれば、売上を上げることに努力出来なくなる可能性があります!
どういうことか?
良くも悪くも納品すればお金になってしまうのがこのシステム。
本来は売上を上げ、その売れた分を納品していくんですが、売上予算がいかなくても月末に納品してしまえば会社としての予算や利益は保たれるわけです。

さらにブランド側はポジションによってまぁまぁ問題が起きます。

販売員からすれば、不必要な在庫をストックしなければいけなくなるので、限られたストックスペースに不必要な在庫を押し込むことになり、いざお客様のために在庫を出すときの作業効率や納品整理などの付帯業務に時間を取られ、販売に費やす時間が必然的に減っていきます。

営業からすれば、売上を上げる努力をしないことに繋がります。
納品=利益の図式になっているため、本来「売上を上げるために考えなければいけない」時間が「どうやって納品で数字を作っていくか」ということ割かれてしまいます。
特にこの業界では、年長者ほどこのやり方に慣れており、販路やモノが少ない時代、自分の力ではないのにモノが売れたばかりに、大して売上を上げる術を勉強してこず、納品だけを頼りに仕事とは言えない仕事をしてきました。
売上上げるスキルがない→売れない→予算に行かない→納品で帳尻を合わす
という負のスパイラルに。

MDからすれば、買取仕入れはブランドから販売店に卸している在庫。つまり販売店側の在庫になっているため、「どれぐらいの物量があるのか」が分からなくなってしまいます。
さらに、在庫を切らしていないのに無理に納品するため、本来欠品が出た時用に自社でストックしておくべき在庫を、欠品していないところに納品して捌いてしまうため、いざ欠品やオーダーがあった場合に適切な場所に納品できないということが発生します!
これでは適切な発注計画はできませんよね。

消化仕入れの問題

もちろん消化仕入れにも問題はあります。

販売先側からすれば、概ね掛け率は高いので自分たちの利益が買取仕入れよりも低いです。
さらに、マインド的にブランド側は買い取って貰って売上を立てたいはずなので、在庫の投入が買取仕入れ店舗優先になっていくかもしれません。
結果売れる品番の積み込みが難しくなったり。

ブランド側からすれば、商品は全て自分たちの所有になるので、盗難や紛失はもちろん損失になります。管理は販売先であっても。

さらに売れた時にお金になると言いましたが、厳密に言えば販売先側からブランドへの支払いはまとめて締め日に入ってくるわけですから、タイムラグがあり、小さなブランドやメーカーの場合キャッシュフローが良いとは言えません。

ただし買取仕入れの部分で提起した販売員、営業、MDにおいての問題は無くなるかと!

どちらが正解?

もちろんいろんな立場の人がいるからそれぞれに正解があると思ってます!

僕はブランド・メーカー側の立場なので、ブランドを考えれば消化仕入れが在庫マネジメントやブランド運営には適していると思っています。

一方、百貨店などの販売先側からすればそれら消化仕入れはリスクこそ背負わなくていいけど買取仕入れよりも薄利。もしくはシンプルな場所貸しとして薄利をとっていくことに傾倒していくのか。
反対に売るということに貪欲に、買取仕入れでリスクを背負って高い利益を取っていくのか。

僕の理想論としては、売上を上げる、高いブランドマネジメントをするために消化仕入れにしてブランド側ができる精一杯の運営をしながら、一方で販売先側がブランドのやることを理解して売り場運営に力を入れ、本来の役割であるブランドを成長させるための場所として、集客と館のワクワク感を提供し続けることかなと考えています。

というわけで今日は仕入れ形態別に問題点を中心に考えてみました!
次回はここに掛け率と運営費用について絡めたリアルなところを!

お疲れ様でした。

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Naru
About Naru 46 Articles
1993年生まれ。三代東京生まれ東京育ちの江戸っ子。都内某レザーグッズメーカーにて販売、営業を経て現在3つのブランドのMDを担当。販売員時代では入社3ヶ月で某都内百貨店自社ブランド売上の過去最高売上を記録。 販売員目線とクリエイター目線で商品面・売場面においてバランスの良いMDを構築。仕事において大切にしていることは、関わる人に気持ちよく仕事をしてもらうこと。これを基に転がされるように見せながら最終的に自分のやりたいことを遂行し転がしていく。