こんにちは、タニグチレイです。
雨が多くなる梅雨の時期は革製品の取り扱いに悩まされる方もいらっしゃると思います。
濡れたらダメになるのか?
雨に濡れたらどうしたらいいのか?
雨の日は使わないほうがいいのか?
革の種類や特性によって変わりますが湿ったまま放置しないことが一番です。
想定外の雨量や水濡れとなると話は変わりますがすぐの対処を怠らなければ問題ないことは多いです。
そもそも原皮は動物の表皮であるだけに皮にはもともと水分が含まれていますし鞣しの工程では何度も水洗いを繰り返しています。
ただ革にする上で染色や仕上げなど様々な加工を施して完成しているものなので雨や水によって変化してしまうことはあります。
そういったことを避けるためには放置せずに革の種類に合わせた対処は必要になりますよね。
ちなみにコードバン(馬の臀部にある組織)に関しては水濡れ注意です。
あれは銀面も取り除き床面を削り出して残された層を平滑に仕上げたものです。
ですから水に濡れると毛羽立ったように起き上がり水ぶくれのような状態になってしまいます。
そうなってしまうと完全な元の状態には基本的にはなりません。
こういう特別なものも一部ありますがきちんと扱えば革はなかなかに丈夫な素材であることは想像できると思います。
「革製品ってどれくらい保つ(使える)ものなんですか?」
こういう質問も結構多いです。
これはやはり丈夫であるという前提があるからでしょう。
使い方や頻度、保管の仕方など色々な条件によって変わってしまうことですが20年以上前の靴をこまめにケアをしてソール交換しながら使っている方もいます。
お母様から受け継いだバッグを大切に何年も使っている方もいます。
「どれくらい保つ?」の答えではありませんが現存する革製品で古いものはどれくらい前のものなんでしょうか?
今回は少し歴史的な話で革製品を見てみましょう。
紀元前3500年頃は文明が栄え出した頃
まずは少し古いですがこちらのナショナルジオグラフィックの記事を読んでみてください。
ここには2008年に発見された革靴が世界最古のものであると紹介されています。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2779/
5500年前と言われても歴史に詳しい方でなければすぐにどんな時代か思い浮かばないのではないでしょうか?
どんなことが起きていたかというとメソポタミアで世界最古と言われる文明が栄え出し都市国家が展開されていった。
日本では縄文中期にあたり現在の青森県である三内丸山に大規模集落ができ出した。
歴史の教科書に載っていた聞き覚えのあるワードが出てきますね。
そしてこの記事で紹介されているものは革靴でありただ単に革を剥いで身につけていただけのものではないことがわかります。
しっかりと目的を持って作られたものだというのがまたさらに興味深いですよね。
しかもマノロ・ブラニクさんの鑑定によるコメントが書かれていますので女性の方は反応してしまうのではないでしょうか?
うっとりするような夢の靴とはちょっと違いますけど(笑)
でも現代に通じるような仕上がりであり過酷な環境に耐えうるような実用性は素直に驚きます。
しっかりと問題解決するためにデザインされていたということですから。
さらには実用的な理由だけではなくファッションとして履いていたと推測されています。
特定の部族の一員であることを示す目的がありこの靴にその役割があったのか?
もし本当にそうなら実用的な機能だけではない表現手段の着用になんだか少し親近感を覚えます。
実際にはもっと古いサンダルもあることは本文中に記載されていますが今回のこの靴が後のヨーロッパでの靴の原型の手がかりということを考慮するとやはり興味深いですよね。
そしてもう一つここでも登場した”アイスマン”も革のコートや帽子、靴を身につけていたことが判明しています。
使用されている動物の種類も特定されておりそれによって生活スタイルも連想されていますね。
こちらも同じくナショナルジオグラフィックの記事ですのでぜひご覧になってみてください。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/081900308/
今回は「革はどれくらい保つ?」から派生して5000年以上も前の革製品をご覧になっていただきました。
革に限らず衣類でも紀元前4200年頃のリネンの織物など現存するものがあります。
今身につけているものや作られているものはこの先数千年後の未来にどうなっているのでしょうか?
確かなことはわかりませんが数千年後の未来の人が歴史的に重要なものとして保管してくれるようなものであったらいいなと思います。