こんにちは、タニグチレイです。
以前にISOやJISのことについて書きました。
ざっくりと言えば規格を定めることで品質と安心安全の確保や生産効率の向上、環境保全などに役立てる。
皮革産業にも当てはまり関連する規定や試験なども少し触れました。
そして今回はこういったことにも関連のある日本エコレザーとエコマークについて書いてみたいと思います。
大まかに言えばエコマークの対象は革製品で日本エコレザーの対象は革素材
まず環境ラベルいわゆるエコラベルと呼ばれるものがあります。
日本ではエコマークはその一つでみなさんもどこかで目にしたことがあるのではないかと思います。
環境保全に役立ち環境への負荷が少ない商品に付けられる表示記号です。
企業は環境負荷の少ない製品の製造をして消費者は環境負荷の少ない製品の購入をすることを目的としたもの。
少し遡りEUにおける環境ラベルEUエコラベルというものが1993年に運営が開始されました。
目的はまさしく上記の内容です。
その後しばらくして革製品では2002年にEU靴統合ラベルというものが制定され製品や製造時の排水基準など様々な項目が規定されています。
ちなみにEUエコラベルと同年に繊維製品ではエコテックススタンダードと呼ばれる試験、認証が定められ聞いたことがある方もおられるかもしれませんね。
そして2006年日本皮革技術協会によって環境に優しい革製造技術や安全で安心な革製品を選ぶための基準が定められました。
それが日本エコレザー基準と呼ばれるものです。
これを受けてまず鞄のエコマーク認定が始まりました。
このエコマークの認定を行うのは日本環境協会です。
その後2007年に靴、履き物2010年に革衣料、革手袋、ベルト類も認定可能になったようです。
そして同じくらいの時期2009年に日本エコレザー基準の認定も始まります。
この日本エコレザーの認定を行うのは日本皮革産業連合会です。
エコマークと日本エコレザー?
日本環境協会と日本皮革産業連合会?
これはそれぞれに違うものなんです。
エコマークは皮革に関することだけはなく様々な商品やサービスに至るまで対象となっているんだからそれもそのはずですよね。
そしてともに認定するのは中立公正な第三者機関が行うのでラベルが違えばこちらも違うというわけです。
では皮革ではそれぞれにどう違うのか?
各項目について併記してみます。
エコマーク | 日本エコレザー | |
認定機関 | 日本環境協会 | 日本皮革産業連合会 |
認定対象 | 革製品 | 革素材 |
貼付対象品 | 革製品 | 革素材、革製品 |
適用革 | 第一類、第二類 | 第一類、第二類、第三類 |
革以外の素材 | 認定対象で基準あり | 認定対象外 |
申請料、ラベル使用料 | 有料 | 無料 |
大まかに言えば革製品が対象のエコマークと革素材が対象のエコレザーとなっています。
日本エコレザー基準が革に対する環境ラベルということがわかりやすい内容になっていますね。
ではその日本エコレザー基準についてもう少し掘り下げてみます。
エコレザーとは基準を満たし製造から再利用まで環境への影響が少ないもの
まず当たり前かもしれませんが天然皮革であることが第一条件です。
日本エコレザー基準に適合し「製品の製造、輸送、販売、再利用」まで一連のライフサイクルの中で環境負荷の低減に配慮し環境面への影響が少ないと認められる革材料であること。
そして対象となる革は動物皮の皮膚断面を損なわず鞣しが行われ仕上げ塗装膜が0.15mm以下でかつ断面構造の70%以上の革。
革に特化しているだけに細かく定められていますね。
上記の表で適用革という項目があり三種類ありますがそれが以下のものです。
・第一類:食用となる主な家畜動物5種の革(牛、豚、羊、山羊、馬)
・第二類:第一類、第三類の床革
・第三類:野生動物の革(取引証明書のある野生動物や養殖動物)
第一第二は良いとして第三類はワシントン条約が関係してきますね。
さらに天然皮革で対象となる革がこのように定められているのでその逆で対象とならないものも出てきます。
それは以下のものです。
・塗装膜の厚さが0.15mmを超える革
・全層の30%以上が革以外のもの
・革屑を再利用したもの
・合成皮革や人工皮革など革を模倣したもの
天然皮革と明記されるからには合成皮革や人工皮革は対象外なのはその通りですね。
それを踏まえてようやく認定されるための条件があります。
それが以下のもの。
・天然皮革であること
・排水、廃棄物が適性に管理された工場で製造された革であること
・製革工程で使用する薬品リストを提出すること
・使用する薬品の化学物質安全性データシートを提出すること
・革の臭気が基準値以下であること
・有害化学物質が基準値以下であること
・発がん性染料を使用していないこと
・染色堅牢度が基準値以上であること
安全な革製品を選ぶための基準なだけあってこのように定められていると安心です。
この中で発がん性染料と出てきますがこれはアパレルでも当てはまる項目です。
発がん性リスクがある染料の種類の中でアゾ染料と呼ばれるものがあります。
その中の一部にアゾ色素が皮膚表面の細菌や酵素作用で還元分解されて発がん性の恐れがある特定芳香族アミンを生成する可能性があることというで規制されています。
この一部というのは全てのアゾ染料というわけではなく24種のアゾ染料がその生成の恐れがああるということで規制対象になっています。
革製品も繊維製品もどちらもあり肌に触れるもの(パーツ)や子供が舐める恐れのあるものが対象です。
例えば革製品では衣料、手袋、帽子など繊維製品では下着、手袋、靴下、おしめなどもあります。
他にもコートなどは襟や袖のパーツ、それからタオルやハンカチなどは子供が舐めるかもしれないということで入っています。
欧州や中国でも日本より早く禁止されていたようなのでこれに関しては世界的に規制され安全な製品が増えているのは良いことですよね。
ということで最後は革以外にも及びましたが環境だけではなく人にも優しくあるのは幅広いものに言えることだと思います。
安心して選ぶことができるのはこういった基準に基づいた認定があるからこそ。
お勧めもしやすくなりますね。