こんにちは、タニグチレイです。
コードバンという名前は聞いたことがある方も多いでしょう。
皮革の中で指名されることもあるような素材。
一体何が他の素材と違うのか?
高級素材のひとつであるのはなぜなのか?
以前革の種類を書いたときに少しだけ触れましたが今回はもう少し詳しく書いてみたいと思います。
コードバンとは馬のバット部の内部にある薄い層
まずコードバンは馬のバット部にあります。
農耕馬の臀部つまりお尻の部分です。
いわゆる馬革とは区別されるので特別な呼び名がついています。
馬の臀部を取り除いた部分をホースフロントと呼びこの部分が馬革というわけですね。
馬の臀部は当然どの馬にもあるのですがその全ての馬から素材として活用できるほどの大きさが取れるわけではありません。
そもそも身体の大きさから比べたら臀部は小さいのに素材として使用できないものもある。
ということは一般的な動物の革と比べると比較的小さい素材で流通量が多くないと想像できると思います。
まずはこの希少性が高価になる理由のひとつです。
さらに素材として流通させるまでが大変なことも別にあります。
これはコードバンが馬のバット部のどこにあってどういう工程で出来上がるのかを知るとわかります。
えっと、手書きですいません。
革は基本銀面+床面というのは以前のブログで知ってもらいました。
銀面と分割して使用することもあるので全てがそうではありません。
そして床面の内側にある薄い層がコードバンなんです。
かなり特殊ですよね。
床面である網状層の中にあるシェルと呼ばれる1mmくらいの緻密な組織。
裁断したバット部を時間をかけて植物タンニンをしっかりと浸透させて鞣します。
線維が繊細で毛穴や凹凸がないため表面がは滑らか。
その後不要な層をシェービング(漉き)します。
そしてグレージングという加工をすることで他の素材にはない独特な光沢が出ます。
このときの摩擦によって線維を寝かしつけているので平滑な表面になります。
希少であることで高価になり掘り出すような独特な製造工程により革のダイヤモンドと呼ばれることもあります。
あの艶のある光沢感と滑らかな肌触りは人を惹きつけるのも頷けます。
厳密には皮革というより層状の組織ですね。
馬のバット部の内部にあるコードバン層という特殊なものなんです。
さらに線維構造も特殊になっています。
またまた簡単な手書きですいません。
これは線維の方向です。
どういうことかというと一般的な革のコラーゲン線維構造は横なのに対してコードバンは縦なんです。
もちろんもっと複雑に絡んでいるはずですがわかりやすく簡素化しています。
線維の流れと同じ方向には強いのですが直角方向には弱いです。
これもベルトの例を出して少し触れたことがあったと思います。
つまり一般的な革と負荷のかかる方向の違いから強度が違うということです。
上図で言えば一般的な革は横向きの力に強いのに対してコードバンは裂けてしまう可能性があるということです。
ただ靴や財布などコードバンを使用している製品は裏に牛革などを使用しているのでそういったものは大丈夫です。
また厚みは増すが銀面を残して使用する場合もあるのでその辺りは心配する必要はないでしょう。
その分縦方向の負荷には強くコラーゲン線維の密度が高くてきめ細かく絡み合っているため強靭です。
あと先ほどのグレージングによって線維を寝かしつけているというのもこの線維方向を知ってもらうとイメージしやすいと思います。
縦向きの線維でも表面が平滑になっているわけですからね。
しかしその分水濡れには要注意です。
それは水分を含むことによって寝かしつけられた線維が起き上がってしまい表面が膨れ上がったようになってしまうのです。
コードバンは水濡れに気をつけてと言われるのはこのためです。
念入りにクリームなどを使用して目立ちにくくすることはできますが完全に復元はできません。
コードバンも表面加工は可能なので型押しを施したものは線維が起き上がりにくく水分や傷に強いものもあります。
あと顔料染めで仕上げられているものはいわゆるコーティングされているようなものなので水分に対しても神経質にならなくて大丈でしょう。
ちなみに財布などで折り曲げる部位が少しざらっとした肌触りになることがあるのもこの線維の特性によるものです。
開閉によって何度も曲がるのでそこだけ起き上がってしまうことがあるんですね。
定期的にコードバンクリームでケアしながら使用すれば気になることはないでしょうから手入れを続けて愛用するのが良いと思います。
このように馬革や牛革そして爬虫類や魚類とも異なる特別な素材がコードバン。
でも実はランドセルで何年もの間使用していたかもしれない素材なんですよね。
どんなふうに使ってましたか?