今期の東京ファッションウィークのランウェイが終わる。
そんな時にTopseller.Styleの記事の執筆日が重なるものだから、大好きな十勝飲むヨーグルト(プレーン)を飲みながらセンチメンタルな気持ちにならないでもない。わたしはメディア関係者でもライターでもないということで、インビテーションをもらってショーを観に行くというのをしなくなってしまったのですが、(自分がショーをする側にいた手前、その席に座るべき人はわたしじゃないという感覚にならなくもない)やはりパリ・ロンドン・ミラノ・ニューヨーク同様ネットでは常にチェックするようにしています。
デザイナーの熱量をもっとも感じられるプロモーション活動の一つに「ファッションショー」があると思うのですが、あの熱量のものを一週間にわたり見続け展示会を回り・・・・各メディア・雑誌・バイヤーなど関係者の皆様今シーズンも大変お疲れさまです。ブランドの皆様はここからさらに正念場かと思います。
こう書くと、東京ファッションウィークは「業界人のお祭り」という感覚が非常に強く、業界人以外にはなんとなく伝わりにくい部分があるのではないかと思います。確かにランウェイ1週間前くらいからアトリエは「祭り」状態に陥りますが、そんなことは置いておいて東京ファッションウィークは昨年からスポンサーがamazonになりました。
そう!amazon!
師匠に送るhigazonの準備。
— ひがしだうに(cow.ltd) (@Yukimi000) August 18, 2015
higazonじゃないです。amazonです。
そうして今回二回目のAmazon Fashion Week。面白い試みもあったようです。読んでくださっている方々が大人だと信じて言いますが、上のスベってる大喜利はスルーしてください。
せっかくこのTopsellerの日曜日の執筆とマスコット的ポジション、ついでにファッション作り手側としてひょっこり置いて頂いているわけですので今日はファッションウィークについて、そして今後変わっていくかもしれないと感じた購買の流れについて掘り下げてみたいと思います。
やはり狙いはBtoCか
以前のスポンサーがラグジュアリー感満載のメルセデスだったので、次期スポンサー「Amazon」には多少の驚きの声があったように思います。ただ、業界から見ても外からに見てもその狙いは明々白々でBtoC(と物流)の強みではないかと言われていました。
しかしミスマッチがないわけではないです。Amazonで数万〜数十万する服を購入に導くことができるのかという点です。東京ブランドも最近は価格帯も多様化しています。アダストリアが展開するHAREがファッションウィークに参加しながら、Hanae moriも同じ東京ファッションウィークの公式スケジュールの中でランウェイをするのですから。
【引用】Amazonが東京ファッションウィークの冠スポンサーに決定(http://www.fashionsnap.com/news/2016-07-21/jfwo-amazon/)
これが昨年の記事です。
東京ファッションウィークは世界で開催される五大コレクションの一つで、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークを回り最後に東京へとバトンパスされます。よって各バイヤーたちの予算も少なく、スケジュール的にも買い付けに不利と言われ、数年前まではバイヤーだけでなく雑誌ライターなどを呼び込むのさえ苦労していました。そのため公式会場として渋谷ヒカリエを設定しそこを中心にショーを回れるように考えていると思われます。様々な問題を乗り越え、今尚東京のポイントは各ブランド含めファッションウィークの課題は「売りの立て方」といえます。
今回AmazonはAT TOKYO(https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=4715510051)という企画を行っていました。ハウスコミューン・グローイング ペインズ・ベドウィン&ザ ハートブレイカーズの3ブランドが選ばれていましたが、特に注目はグローイング ペインズ。
デザイナーのマドモワゼル・ユリアは、ある意味TOKYOファッションを語るには欠かせない存在と言えると思います。DJなどの肩書きも持ちファッションアイコンとして東京を代表する一人がこうしてAT TOKYOに選ばれ発信力をさらに強固にしています。
個人で発信力を持つファッションアイコンはBtoCに親和性が高いと言えるでしょう。そしてこの流れは従来のブランドのビジネスモデルとは大きく違ってきている印象を受けます。
多様性がやはりキーワード?
カルチャーの中で「東京らしさ」として言われ続けているのがその「多様性」。
渋谷109系のギャルと原宿ファッションが同じ時期に共存したり、Sacaiのように海外へ販路を広げてブランドビジネスをグローバル基準に持っていくブランドもあれば、あくまで国内での発表の場としてショーを行うブランド。
いままでは服を着る側のファッションキッズたちの間で「多様性」がキーワードになってきましたが、いよいよ今シーズンからブランドビジネスを行う側もしっかりそれを意識していかなくてはならないのだな、という印象を受けました。
こだわりのパターンメイキングで服を作るブランド、カルチャーを大きな追い風とするブランド、ショーをしないのに海外まで販路を広げるブランド、ショーをしながら国内を強化するブランド。販路・ターゲット・売り方・タッチポイントを多くの選択肢の中から選べるこの時代に、東京ファッションウィークは成長期にあるといえます。服だけで楽しさ・面白さ・ブランディングを伝えるだけでなく、多くのツールを使って売り方を提案できる時代となりました。
See now Buy nowが注目されるなど、ファッション本場の欧州もそのシステムを変化させてきています。東京はその先駆けとなるかが注目のポイントです。
世の中の物流を大きく変えたamazonという企業とどのような展開をみせていくのかが楽しみです。
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