アパレル販売員のみなさんはなぜセールをやるのか考えたことがありますか?
店頭で商品をお金に換えなければ次シーズンの資金がない?!
私たち販売員は毎日お会計の際に、商品がお金に換わる場面に立ち合っています。
その売上金額から、商品の原価、私たちのお給料、商品がお店にくるまでの輸送費、お店での管理費(ストックスペースの家賃や電気代)、POPやショッパーなどの販促費等々が引かれて、残ったものが営業利益です。
イメージしやすいように具体的な例を挙げますと、ユナイテッドアローズが公開している束矢通信によれば、昨年度のユナイテッドアローズの営業利益率は6.3%でした。
もちろんこの数値は期中の平均値ですが、
10,000円売って630円です。
ここからまた営業外の損益等々を足し引きして当期純利益が出ますが、同じくユナイテッドアローズは3.6%でした。10,000円売って360円です。
うわー、超、薄利!と思いますか?
はい、そうかもしれませんね。
良くはないけど、これでも、ユナイテッドアローズがいよいよヤバいとかそういうわけではないです。
この仕組みを点でなく線で解説しようと思ったのですが、それだけですごい長文になりそうなので、割愛します。
とりあえず薄利でもなんでも、このようにして生んだ利益をもとに、会社は新しい取り組みをしたり、お金のかかることに使って維持したり大きくしたりするものです。
だから、店頭で自分たちが抱えている商品は1点でも多く売る必要と責任があるのです。モノをカネにかえるのが販売員の役目です。
ちなみに必要以上のモノは、期中にさっさと返しましょう。過剰在庫は過剰だと伝えることも店頭の販売員の仕事のうちですから。
健全なビジネスとブランドの成長の為にはプロパーで売り切るのが理想
せっかく好きで働いているブランドなら、
お客様が目を輝かせるような素敵なものを、買い付けてきて欲しいですよね?
お客様に自信をもって勧められる商品を、作って欲しいですよね?
かっこいいお店、つくりたいですよね?
イケてるお店で働きたいですよね?
だったらプロパーのうちに、買ってもらえるように頑張りましょう。営業利益で会社を支えるには、それしかないんです。
自分たちが働きたいお店や環境をを守るためにも、がんばらないと。
商品は旬の内に、一番利益の出る、プロパー(定価)で売りましょう。
できるだけ。
セールの方が安くてお客様が喜びますか?
そうですね、セールの日はそうかもしれない。
でも、普段はどうですか?
SNSでもさんざん「買い物したいのに、グッとくるものがない」「どこも似たり寄ったりでつまらない」「セレクトショップっていうかまるでセレオリショップ」とか言われて久しいアパレル業界。
資金があれば、売れないかもしれないけどエッジのきいたもの、個性の強いもの、世界にひとつしかないものなどの買い付けができたり、海外の山奥のアトリエとかに宝物を探しに行くこともできるのです。
なけなしのお金でやりくりしようと思えば、誰だって守りに入ります。確実に売れそうなものしかやらなくなって、つまらないブランドになって、机上の計算で人件費削って、余裕のないサービスしかできなくなって、人(お客様も働き手も)が寄ってこなくなります。
そうなると接客しなくても売れるように、マスが見てまあまあ納得の万人受けレベルに単価を下げてクオリティを下げて…今一番オーバーストアな中途半端コモディティブランドになるわけですね。
コモディティ化ってつまり、ブランド崩壊です。
お金が欲しければ稼ぎましょう。
それでもセールをやる理由
セールを迎えて、例えば12,000円の商品を50%オフにして売れたところで50%オフでは赤字です。
じゃあ、セールをやらなければいいじゃない?それは極論です。
売り残した在庫を、お金に換えずに持ち続けると保管費はかかるし、商品の旬はどんどん過ぎていって価値がなくなり、それこそどうにもならなくなってしまいます。
そんなリスクを回避するため、また、利益云々より売上と言えるものをつくるため、お客様に「安くするから買ってください、お願いします!!商品のままじゃなにもできないからお金にしたいの!」というのがセールです。
お店で在庫を売り残してばかりで値下げを重ね、赤字が続くようだと、新しいことをしようにも無い袖は振れませんし、最悪、会社は潰れます。
作業的にセールをこなしているようでは、いけませんよね。
以上、販売員の会社での存在意義と、セールに向けてのマインドのお話でした。