お客様が実際に知りたい皮革素材について知ってますか?

こんにちは、タニグチレイです。

これまで皮革に関することについて色々と書いてきました。
普段革製品の取り扱いがない方でもいざ販売する機会がある時には接客できるのではないかと思います。

ただもちろん作りや使用感、特徴などをお伝えするには製品それぞれをよく知ることが必要になりますので接客が全てしっかりできるとは言いません。

今までのブログから得た知識や情報はどんな場面で活用することが多いのか?
今回は実際に店頭でお客様からよく聞かれる質問をいくつか挙げながらこれまで身につけた皮革の知識を振り返ってみましょう。
(ここでのお客様からの質問は皮革製品の中でもウェアではなくバッグや財布などのグッズ類を例にしています)

雨の日はどうしたらいいですか?

この質問はとても多くて購入する上で革製品を選ぶべきかどうすべきか迷う方も多いと思います。
皆さまもご自身が革製品を購入する立場になったら気にされる方も多いのではないでしょうか?

「雨で濡れたらどうしたらいいですか?」
こう質問される方もいらっしゃるのですが上記の聞き方の方が多いように感じます。

これは水濡れに対するケアの仕方だけが解決方法ではなく雨の日の使用可否や事前時後の対処法、製品に対する重要性などが窺えます。

例えば雨の日はレインブーツを着用して身に付けるものも雨に濡れても対応が簡単な上着を普段から使っているお客様だったら革製品についても雨の日用の使い方や別の製品を使うというところまで想像して特に質問もしないと思います。
(先ほどの「雨で濡れたらどうしたらいいですか?」の場合は雨の日の使用も想定できている)

それを踏まえるとこの質問には
・使い分けることはぜずに連続して使いたい(または持っているが使い分けるつもりはない)から悪天候の場合でも使えるか?
・できたら製品そのものを濡らしたくないけど雨で水濡れすることで変化が起きるのか?
・雨で水濡れしてしまったらどうしたら良いのか?
・事前に対処方法はあるのか?
・万が一濡れた部位が元の状態と違い変化していたら何か対応方法はあるのか?

こういったことが全て質問には含まれていると思います。

購入を考えるお客様には何か今お持ちのものでは十分でなくなったから検討されているはずです。
その上で使い方や使用状況で新たに問題が出てしまっては満足できません。

ですから単純に「雨の日は○○してください」だけの回答では購入に踏み切れない場合も出てきます。

であればまずは素材に関して
・革の種類は何か?
・鞣し方法は何か?
・加工や染色、着色はどういったものがされているか?
その次に製品に関して
・付属物も含めて何か事前にお客様自身で対処できる方法はあるか?
・対処なしで水濡れしてしまった場合はどうなるか?
・水濡れ後の対応はどのようにしたら良いか?
・聞いていた内容や対応ではお客様自身で対処しきれない場合は何か専門的に対応できるか?

素材の情報から製品の情報を合わせてお客様の質問に総合的な回答ができれば十分に納得がいくものになるでしょう。
製品に関しては具体的に取り扱うものによって様々ですが素材に関しては今までの内容が活かせますよね。

お手入れはどうしたらいいですか?

この質問もひとつ目の質問同様お手入れの方法だけが知りたい内容ではないことも多いです。
普段から靴などのお手入れに慣れている方でしたら質問通りの回答で十分かと思います。

ですが決してどんな革製品もお手入れを常にしている方ばかりではありません。

この質問の内容には
・扱いが面倒なのかどうか?
・デリケートな素材で注意が必要かどうか?
・もしもお手入れをせずに使用したら何か問題があるか?
・お手入れをする場合は難しいのかどうか?
・お手入れをして使うことはせずに使うことより何かメリットがあるか?

この質問でもこういったことが全て含まれてくると思います。

そうなるとこちらもひとつ目の質問と同じように素材の情報から製品の情報を合わせた総合的な回答ができるとお客様は安心できますね。
このお手入れの場合は結構素材に関することが大きいでしょうからこれまでの内容がさらに活かせるでしょう。

色落ちしますか?

この質問も先のと同様するかどうかだけの確認ではないことはもう大丈夫ですよね。

この質問をされるということは革製品は基本的にどれも色落ちするものと思われていたり今までに使った革製品で色落ちや移染を経験したことがあるからと考えられます。

・使用することで色の変化は起きるのかどうか?
・あるならばどのように変化するのか?
・変化はどんな場合に起きやすいのか?
・事前に対処方法や使用に注意すべきことはあるか?
・もし変化したら事後対応はどうしたら良いか?

これも素材に関することが大きいでしょうから今までの内容を活用できるはずです。
それに加えて製品に関することや使用環境や使い方などを総合的にお伝えできると良いですね。

その他にはどんな質問がある?

革製品は服のように毎日コーディネイトによって変えたり使い分けると言う方は少ないように思います。
休日のお出かけならばバッグや靴は合わせて選ぶと言う方でも財布などの革小物はいつも同じだったりします。
そして仕事用のバッグはひとつのものを使い続ける方は多いように思います。
革は丈夫という意識や詰め替えるのが面倒ということもあるでしょう。

そういったこともあり
「どれくらい(年数)使えますか?」
「修理はできますか?」

こちらは使い方や状況で変わることですがある程度使い続けられる(使い続けたい)製品であることを想定しているからでしょう。

ですから使用例や修理内容に関する実例などを交えながらお伝えできると安心につながります。
素材の特性に製品の特性を総合的に合わせてさらに普段注意すべきことを加味できると良いですね。

さて今回は今までの皮革素材に関する知識をどう活かすかについて書いてきました。
お客様が気になることや質問はこれが全てでもありませんしもちろん人それぞれ他にもあります。

扱いの慣れない素材やグッズであってもウェアと特別違うわけではありません。
革製品の接客の際にいきなり「素材が〜で・・・」とか「これは○○の素材を使っていて・・・」とはなりません。

皆さんも服の接客をする際にいきなり「素材が〜なので・・・」と言ったところで困惑するお客様も多いですよね?
服を見てすでに自分事にして着用時やその先まで想像しているお客様なら大丈夫かもしれませんがまずはもっといざ自分が使用するならということを明確に想像してもらうことが必要です。

これは製品や素材が変わっても同じこと。

お客様自ら聞いておかないと困ると思えるくらい自分事にしてもらってから安心できる理由として素材や製品の知識を活用してお答えする。

10ある内容を10お伝えした方が良い方も2伝えれば10伝わる方もいらっしゃいますがこちらは10を準備しておく。
(どんなものでも奥深くて10全てを理解して知ることは難しいことは承知しているので正確には10に近づけるように常に意識し続けることですね)
これは実際に使ってみた素材や製品の使い心地なども含みます。

そのためにこれからもたくさんのことを覚えたりたくさんのものを使用していきましょうね。

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谷口玲
About 谷口玲 221 Articles
1976年3月生まれ。 販売員歴18年。 メンズはヨーロッパ系デザイナーズセレクトショップと英国デザイナーズブランド、レザーグッズブランドで販売。 レディースはミセスセレクトショップとドメスティックデザイナーズブランドで販売。 今まで大阪、神戸、京都、広島、札幌、東京、横浜などの百貨店を中心に店頭に立ち現在はフリーランスの販売員。