今回は、喋るのが得意な人向け。
しゃべりのチカラも販売員のパフォーマンススキルのひとつですので、得意な人はどんどん表現力を磨いていきましょう。知識があっても、伝わらなければ意味がないですからね。
ベージュのウールコートはなぜ売れないのか
実は私、秋冬シーズンにベージュのコートや冬小物を売るのが得意です。理由はのちほど。
秋冬という季節柄、お客様は放っておけば落ち着いたブラックやネイビーばかり選びがちです。特にコートは高いから、着まわし重視で控えめな色になるのもわかります。一方で、ベージュのような色のコートは店頭でディスプレイに重宝しますが、実際着るとなるといわゆる「難しい色」なのでしょうか?
春になれば街はベージュのトレンチコートであふれていますから、色の問題ではなさそうですね。ということは、接客時にベージュのコートをオススメしたって、そうそう突飛なことではないはず。
となれば、お客様はなんとなくブラックやネイビーでいいかな、程度かもしれないという仮説が生まれます。見慣れた色に意識が行ってしまっているだけかもしれないのです。
それではもし、ブラックやネイビーよりお客様の興味を引ける色があったらお客様はどうするでしょうか?
興味を引くと言っても、珍しい色や激しく目立つ色の提案はNGです。お客様にとってコートは着まわし重視なのですから。
表現の工夫で、普通の色を目の前のひとりのお客様にとって特別魅力的に見える色にすれば良いのです。
言い方ひとつで魅力100倍
では、嘘みたいにベージュのコートが決まる魔法のフレーズをお教えします。木枯らしが吹き始めたら、使ってください。
「ミルクティーみたいな色で、ほっこりしますよね。」
え?
何言ってんの?とか思いました?(笑)
ゴツい男子に言っても無理ですよ、妙に共感されてもちょっと動揺するし。
ベージュのコートが似合うお顔立ちの、かわいらしいお客様に使ってくださいね。
かわいらしいお客様は、きっとご自分がかわいらしいことをわかっていますし、ミルクティーとかもう響きが好きだし、冷たい木枯らしの中で熱いカップをニットの両袖で覆いながらふーふーして飲む自分がきっと好きです。
だから「ミルクティー」と聞こえた瞬間にそんなイメージで想像されます。そして「ただのベージュ」が「めっちゃかわいい色」になるのです。
「ベージュ」なんてコンサバな表現したって全然ピンとこないですよ。だったら安心のブラックやネイビーがいいに決まってるじゃないですか。
でも、ミルクティーみたいな色ならかわいいじゃないですか、着てる自分が!←ココ大事!!
ファッションアパレルの店頭には、少なからず「盛りたい」人々がお客様としてきています。ブランド背景云々、生地がどーのこーのよりも、それを着たとき自分がかわいく見えたらそれでいいんです、女子は特に!
そこらへんのイメージを掻き立てられるかどうかも、販売員の腕の見せどころです。
こういうの、バカにしますか?
いいじゃないですか、お客様は高いお金を出して買うんです、愛すべき向上心ではありませんか。ちっとも盛れないものにお金使う方が意味わかりません。先入観を取り払い、似合うもの、一層お客様を引き立てるものをご提案できてこそ必要とされる販売員というものです。
売りやすい色ばっかり売ってると、モノ売りでおしまい
アパレル販売員のみなさん、もしかして、安全パイな黒とか紺色ばっかり売っていませんか?本社に「カラバリが欲しい」とか言っておきながら、在庫状況も把握せず安全パイカラーばかり先に売り尽くし、あげく「定番色が欠品のため今週は重衣料が低迷」とかいう週報書いてませんか?
ビジネスをうまく回すにはバランスが肝心。
在庫状況をおさえつつ、バランスよく売り減らしていけるかどうかも、販売員のスキルのひとつなのです。
今回は書かないけど、私は春先に淡いピンクを売るのも得意です。冬に白を売るのも得意。
スキルを上げて、能力を売っていきましょう。