デニム生地の定義とは

さて、今日はデニム生地についてです。デニムとは何ぞやということを考えていきましょう。

デニムという生地の定義ですが、経糸にインディゴ染めした紺色の糸を、緯糸に染めていない白い糸を使って織った綾織り生地のことです。そして経糸3本に緯糸1本の割合で織ります。

デニム生地は洗濯や摩擦を繰り返すと色落ちします。それはなぜかというと、インディゴ染めした経糸が糸の中心部分まで染まり切っていないからです。糸の中心部分が白いままでその周りが紺色に染まっている状態です。これを通常「芯白(しんしろ)」と言います。

で、洗濯や摩擦によって周辺部分の紺色が削られて、中心部分の白が浮かび上がってきます。これがデニム独特の色落ちの正体です。

ですから極限まで色を落とせば、紺色のデニム生地を白にすることは可能です。

ですが、現在ではブラックデニムやそれ以外のカラーデニムも存在しますから、経糸に使うのは紺色以外のカラー糸でも良いという風に考えた方が良いでしょう。

経糸・緯糸ともに色糸を使った綾織りはどうなるかというと葛城(カツラギ)素材と呼ばれます。

最近定番化したアイテムにホワイトジーンズというものがあります。この素材をホワイトデニムと呼ぶ人がいます。が、経糸も緯糸も白で織られた生地は、本当は白いカツラギ素材です。

しかし、ホワイトっぽいデニム生地を作ることは可能です。経糸に色糸を使えば良いのですから、薄グレーや薄ベージュの糸を経糸に使用するという手があります。これだと「真っ白」にはなりませんがかなり白に近いデニム生地が出来上がります。

「ジョンブル」などのジーンズ系ブランドではこの手のホワイトジーンズが毎シーズン企画されます。経糸に薄グレーや薄ベージュの糸を使ったデニム生地で製品を作り、そこに洗い加工を施すことで白に近づけます。この手の生地はホワイトデニムと呼んでも差し支えないのではないでしょうか。

それではジーンズとは何でしょうか。

個人的にはデニム生地を使って作られたファイブポケットパンツだと定義しています。まれに右側の前部分にある小さいコインポケットを省略されたフォーポケットパンツも見かけますが、これもジーンズと呼んでも良いのではないでしょうか。スーツやスラックスとは明らかに異なる型紙(パターン)で縫われています。

カラージーンズとはカラー生地を使ったファイブポケットパンツです。

ところで、5年位前からジーンズのことを「デニム」と呼ぶ人が増えてきました。消費者だけでなく業界の人もそういう人が増えてきたように感じます。

本来、正しくはジーンズと呼ぶべきで、ジーンズという呼び方が陳腐化して古臭く感じられるからデニムパンツという呼び方に意識的に業界が移行させた部分もあるかもしれません。またファイブポケット型でない、スラックスタイプのデニムパンツも増えたからそういう意味でもデニムパンツという呼称が好まれたのかもしれません。

デニムパンツという呼び名は長ったらしいですから略して「デニム」となったと推測されます。

しかし、これでは製品の名称なのか、素材の名称なのかわかりません。

「デニムを持ってきて」と言った場合、字面だけみると生地を持って来れば良いのか、デニムパンツを持って来れば良いのかわかりません。

そんなわけで個人的には、ジーンズあるいはデニムパンツを「デニム」と略するのはあまり賛成できません。

こういう名称の混乱というのはアパレル・繊維業界には頻繁に起きます。その原因は言葉の定義が厳密ではないからです。厳密に定義されていない言葉をいい加減に使うのでますます混乱が起きます。

自動車や機械など他の産業からするとなんといい加減な業界なのかと感じられることでしょう。アパレル・繊維業界は、そのいい加減さが魅力であるとともに、物事がわかりにくくなっている原因でもあります。言葉の定義づけがあいまいなために共通認識が形成されにくい。それがスタッフ同士や他社のコミュニケーションまで阻害している部分もありますから、業界内でさまざまな用語の定義を明確すべきだと思います。それによって他社との連携も取りやすくなって業務の効率化が向上するはずです。

 

 

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南 充浩
About 南 充浩 42 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿

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