合成繊維と天然繊維

先日、某コンサルタント氏の送別会を開催しました。

今回の席上ではためになる話が山ほど飛び出しました。その中から、素材に関する話をご紹介しましょう。

販売員は素材についてあまり詳しくない方が多いのでこれを覚えておくと、お客様に勧める際にも便利になるのではないかと思います。

合成繊維にはたくさんの種類があります。

おもに石油を原料としているものが多く、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどが代表例です。

また、以前にもここで書いたパルプを原料とした半合成繊維(または再生繊維)も合繊の仲間に入ります。レーヨン、モダール、テンセル、キュプラ、アセテート、ジアセテート、トリアセテートなどです。

一方、天然繊維は動物か植物から採れたもので、綿、麻、シルク、ウール、カシミアなどです。

 

綿と麻の植物性天然繊維を除いて、昨年からウール、カシミアなどの原料価格が高騰しています。恐らく、2019年秋冬企画では相当数のウールやカシミアが合繊混や合繊100%に置き換わるのではないかと見られています。

 

天然繊維は急遽増産することはできませんから、需給バランスを整えるためには長い時間が必要となります。このため、人間は何とかそれの代替品を作ろうとして合成繊維を生み出した部分があるといえます。

 

以前にも書いたように、レーヨンというのは日本語略語で「人絹」と呼びます。人造絹糸の略です。レーヨンはシルクの代替品として生み出されました。

近年、「カシミアタッチセーター」や「合繊セーター」が増えましたが、これらに使われている合繊はアクリルです。

そして形態安定加工ワイシャツに使われているのがポリエステルです。

 

ですからこの某コンサルタント氏は、

「ひどく大雑把にまとめると」

と前置きした上で、

 

レーヨン≒シルク

アクリル≒ウール

ポリエステル≒綿

 

という相関関係があるとまとめました。

もちろん、あくまでも「大雑把」なまとめ方です。

厳密にいえば、「麻はどこに行ったんだ?」とか「ポリエステルで麻ライクな生地も織れるぞ」とかそういうツッコミは可能です。

しかし、これはあくまでもわかりやすく説明するためのまとめ方なので、わざわざツッコムほど野暮なことはありません。

こうまとめてみると、合繊のそれぞれの特性が何となくわかるのではないでしょうか。

 

ポリエステル、ナイロン、アクリルなどさまざまな合繊の種類がありますが、このように覚えると覚えやすいのではないかと思います。

 

 

 

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

南 充浩
About 南 充浩 163 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】