こんにちは、タニグチレイです。
「皮革」と名が付くものの中に人造皮革というものがあります。
皆さんも合皮という言葉は聞いたことあると思います。
この合皮も人造皮革の一種です。
人造という名の通り人が作り出したものでMan made leatherやArtificial leatherと呼ばれるものです。
今回はこの人造皮革について見てみましょう。
合成皮革は表面層を天然皮革に似せたもので人工皮革は内部構造も天然皮革に似せたもの
人造皮革は19世紀中ころ天然の布地にニトロセルロースを塗布して作り出されました。
ニトロセルロースとは硝酸と硫酸で作られる綿状物質でこれと樟脳と混合して作られたセルロイドが世界初の合成樹脂だったそうです。
この時点ではまだ今の合皮のような見た目や質感では無いだろうと想像できます。
というのもその後合成樹脂の開発が進みビニルレザーや合成皮革、人工皮革などが開発されました。
この後ひとつずつ書いていきますが最初期のものとは使用している樹脂が違うのでおそらく表情も今のように出来の良いものではなかったでしょう。
あと可燃性だったようなので革の特性である難燃性は真似できていなかったようですね。
人造皮革は合成皮革や人工皮革など全てを含む名称です。
ではそれぞれどう違うのでしょうか?
ビニルレザー:織布や編布にポリ塩化ビニルを塗布したもの
合成皮革:織布や編布にポリ塩化ビニルやポリウレタンなどの合成樹脂を塗布したもの(その後仕上げ層の樹脂を塗布)
人工皮革:立体構造を持つ極細繊維の不織布に合成樹脂を浸して含ませたもの(さらに合成樹脂を塗布する場合もある)
見ていただくとビニルレザーと合成皮革は似ていますよね。
つまりビニルレザーを改良して発展させたのが合成皮革です。
ですから分けなくても一種としてまとめてしまってもいいでしょう。
次はもう少し詳しく見ていきます。
ビニルレザー
皮革の人工代替品の一つ。
織布や編布上にポリ塩化ビニル(PVC)を塗布して銀面模様の層を形成させたもので塩ビレザーとも呼ばれています。
塩化ビニル樹脂にある可塑剤の移動によって硬化や収縮や色素の移染などを起こしやすいのが難点。
JIS K 6772に規定されているビニルレザークロスに相当する。
合成皮革
革の人工代替品。
日本では人工皮革と区別されています。
上記の通り合成皮革はビニルレザーを改良し発展させたもので表面層のみを天然の革に似せたものです。
断面や裏面は天然皮革とも人工皮革とも違うので見分けるのに良さそうですね。
製品に使われていると断面や裏面が確認できる場所は少ないでしょうけれど。
織布や編布などを基布としその上に塩化ビニル樹脂(PVC)ナイロンスポンジ(PA)ポリウレタン(PU)などの多孔性の合成樹脂を塗布。
その後さらに仕上げ層として変性ナイロンやポリウレタン、アクリル樹脂などを塗布したりエンボス加工で皮革に似せた外観にする。
外観や風合いはビニルレザーより革に近くなっているのでしっかりと発展していますね。
人工皮革
表面だけでなく内部構造も天然皮革に似せて製造された人工材料。
極細繊維(ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどのマイクロファイバー)の立体構造を持つ不織布に合成樹脂を浸して含ませる。
言ってみれば天然皮革の床面である網状層をこの不織布で真似て作り上げたわけですね。
ここまでのものもありますがさらに合成樹脂を塗布し銀面模様を付けて微細な連続気泡のある構造に仕上げているものもある。
しかしさすがに天然皮革の三次元立体構造をそのまま再現できているわけではありません。
こちらも断面は天然皮革とも人工皮革とも違っています。
比較的軽いが引張強さや透湿性は天然皮革に劣る。
衣料用のスエードタイプの人工皮革などもありもしかしたらこれが一番店頭で馴染みのあるものかもしれませんね。
触感や耐久性、加工性などは合成皮革より人工皮革の方が良いといわれています。
構造も真似て作り出されているだけにより天然皮革に似せることができているのですね。
ちなみに最近では合成材料に「Leather」を使用することはできなくなりつつあるようです。
例えばISO 17131ではSynthetic material with a PVC coatingまたはSynthetic material with a polyurethane coatingのような表現になっています。
はるか昔から無駄にすることなく活用されてきた天然素材の特別感が少し感じられますね。
使い方や製品によっては天然皮革にも人工皮革にも良さはあります。
どっちかが良くてどっちかが悪いのではなくそれぞれに特徴を知っておくと伝えたり較べやすくなるでしょう。
製造面では共に環境に配慮した生産が進んでいます。
培養レザーも含めさらに変化や進化もしていくでしょう。
そう思うとこれからも楽しみですね。