こんにちは、タニグチレイです。
先週は皮革素材にまつわる「耐○○性」について書きました。
繊維製品でも着用する上で気になることや注意すべきことはありますから素材が変わるだけで根本は同じかと思います。
製品を購入する前や購入後に満足して使用するために必要になること。
愛用してもらうためにも事前にお伝えできることは増やしておきたいですよね。
今回はその続きですがその前に前回の記事も載せておきますね。
耐熱性
加熱したときの物性や寸法、外観などあらゆる理化学的性状の変化のしにくさを表します。
何やらいきなり難しいですね(笑)
皮の主要なタンパク質はコラーゲンであることは以前にも書いていますね。
そしてこのコラーゲンは加熱によって特定の温度以上になると崩壊してゼラチン化したり線維が収縮したりします。
ですからこういった変化に対する熱安定性が皮革の耐熱性にあたるわけですね。
この耐熱性は水分量に影響され水分が多い方が耐熱性が低くなります。
例えば成牛の皮の熱収縮温度と鞣した牛革の熱収縮温度を比較してみます。
熱収縮温度というのは収縮が始まる温度のことです。
これは成牛の皮は65〜67℃くらい、クロム鞣剤で鞣した牛革は77〜120℃くらいと100℃以上にもなります。
ちなみに鞣剤の中でもクロム鞣剤が最も耐性が高く植物タンニン鞣剤は70〜89℃ほどのようです。
一番最初に書いた革の特徴のひとつ難燃性がよくわかりますね。
この革の耐熱性や鞣しの度合いはJIS K 6550やJIS K 6557-7で規定されています。
耐摩耗性
摩擦に対して摩耗や劣化のしにくさを表します。
摩擦を繰り返して破損するまでの摩擦回数や一定回数摩擦した後の強度や表面状態によって評価されます。
他にも屈曲による磨耗も当てはまります。
皮革製品ならソファや靴底や中敷など摩擦が起きるものは気になるところですよね。
ただ革耐摩耗性のJIS規格はないようなので繊維のJIS L 1096が適用されているようです。
耐屈曲性
屈曲に対しての耐久性を表します。
革製品の中でも靴は常に歩行することで屈曲します。
衣料や手袋なども動きに合わせて屈曲することが多い製品ですね。
これも一定回数の屈曲を繰り返し損傷の度合いを評価します。
こちらはJIS K 6545などで規定されています。
耐寒性
低温時の性能劣化のしにくさを表します。
革は温度変化による柔軟性はあまり変わらない特性を持っています。
ただし仕上げなどで合成樹脂などを使用すると低温化で柔軟性や屈曲性が変わる恐れがあります。
それを規定した試験がありJIS K 6542に規定されています。
耐クリーニング性
クリーニングによる色落ちや収縮、型くずれなどに対する抵抗性を表します。
これはクリーニングによって加脂剤や鞣剤の一部が離脱したり仕上げ塗膜が溶解することがあるからです。
繊維製品もクリーニングはデリケートな問題だったりしますよね。
主にドライクリーニングの抵抗性を表し革の耐クリーニング性はJIS K 6552で規定されています。
耐溶剤性
各種溶剤に対する革の耐久性を表します。
例えば家具用革でアルコールの滴下試験において水膨れやしみなどの外見変化がないか規格が設けられていることがあります。
上記のドライクリーニングにも出てきたJIS K 6552では工業用ガソリンを用いて試験されます。
また革の染色堅牢度試験の中にベンジンを用いる有機溶剤試験などもあるようです。
こちらは耐クリーニング性のように製品後のものよりは素材としての革に対してになりますね。
さて2回に分けて「耐○○性」の内容や気を付けることなどを書いてみましたが繊維製品にも関連することがあったと思います。
衣料でも革素材が使用されるのですから近しいのも納得ですよね。
気温が下がってレザーを着用されているお客様も見かけるようになりました。
購入前や購入後に不安になりそうなことを解決する提案ができるためにもこのあたりも押さえておきましょう。