やっと平均して秋らしく過ごしやすい気候になってきて気持ちと体がたるみがちなサ・・・kazです。
こんにちは。
今回は「顔愛」シリーズ最終の3回目、マネキンの生い立ちについて勉強しよう!の回です。
またまた前回までの内容を忘れちゃったというお茶目なあたなに前回までの復習を。
さて、普段注目されにくいところですが、対象を深く知る事で愛着が湧いたり、その存在の意味を理解して使いこなす事で新たな発見があるかと。
決して個人的な趣味ではない!と、思いたい・・・
それでは、スタート!
マネキンの歴史
マネキンの歴史はかなり古く以前こんなツイートをしたところ、意外と反応がありました。
【サイトーのワンポイントVMD 番外編 1】
マネキンメーカーの成り立ち約70年前に京都の島津製作所で人体模型を作ってた人達が、七彩、吉忠、ヤマトマネキンの3社に分かれて立ち上げたのが日本のマネキンメーカーの始まり。
意外と歴史は長いよ!#マネキン
— kaz(topseller.styleのVMD担当) (@kazusanvmd) July 28, 2018
これでも日本のマネキンの歴史の始まりではなく有名なマネキンメーカーの歴史がこれぐらいとの事でして、遡ればもっと古いのですがこのちょっと手前ぐらいから始めてみましょう!
そもそものマネキンの起源は石膏や蝋で作られた人形です。そして世界初のマネキンメーカーとして「シーゲル&ストックマン社」が設立され、現在に至るまで様々な名作を世に送り出してきた。現在でも「ストックマン」と言えば名作トルソーして認識のある方が多いのでは?
そんなストックマンのトルソーは元々パターン用トルソーとして開発され、当時のメゾンはこぞってこのストックマンのトルソーを使っていた。その為、著名なデザイナーの服は全てストックマンの上で作られるとまで言われていたほどらしいです。
今でも仕立ての良さを引き立てるツールの一つとして店頭でPPなどに使われ、活躍しています。
ちょっとそれましたが・・・日本に初めに輸入されていたのはフランス製の蝋マネキンで、それが百貨店などに普及していました。 が、しかし!溶けます。だって蝋ですもの 笑。
WDのスポットはもちろん、運搬中の船の中でも溶けちゃいます 笑。
西欧風の美人なマネキンを買ったはずなのに届いたものは奇怪な物体・・・なんて事はザラにあったようです。
そこで国内で補修が出来ないものか・・・となり、その修理を請け負ったのが当時人体模型を作っていた島津製作所の標本部。
運搬にも補修にもましてや買い取るのもお金と時間がかかって仕方がない!状態だったところでこれは国産マネキンを制作できれば需要がある、と言う流れで島津製作所 標本部の長をしていた島津良蔵という方が立ち上げたのが島津マネキン。これが国産マネキンの始まりとされています。
国産マネキンは紙だった!?
溶けないマネキンとして開発されたのがファイバーマネキン。このファイバーマネキンの製法が確立されたのが1928年、もちろん前述の島津マネキンが開発。
その技法は当時の京人形の制作方法からヒントを得て確立されたようですが大まかに説明すると、紙で形つくる、その形に「にわか」と言われるゼラチンみたいなので和紙を貼っていく。最後に焼いたコテで形を整えるといった感じのようです。
ちょっと想像しづらいし、そんなモノが本当に強度があったのかとちょっと思っちゃいますよね。
それでも蝋マネキンよりも軽く強固という事で島津マネキンの国内シェア率はピーク時で85%と言われています。
現在ではそのほとんどは残っていませんが、現存する最古のマネキンは株式会社 七彩さんにて保管、展示されています。その他にも貴重なマネキンが沢山展示されていますので興味のある方は見に行かれても面白いですよ。NHKのカーネーションで使われていたマネキンも当時に制作されたものを七彩さんが貸し出していたそうで、貸し出したそのマネキンも展示されています。
下記リンク先から見学の予約が出来るようなので一般の方でも行けるハズ。
ちなみにファイバーマネキンの製法が確立されてから30数年はこの技法で作られていたのですが、なんせ作るのに時間と手間がかかる。
そこで開発されたのがFRP素材。ガラス繊維などを混ぜた強化プラスチックの事なんですが、身近なところではバスタブなんかも昔はこれでしたね。表は塗装や研磨によってツルツルで綺麗ですが裏返すと筋のような繊維がびっしり。
軽くて丈夫と言う事でこれがスタンダードとなり、世界でも非常に優秀な日本マネキンが出来上がりました。ちなみに海外のマネキンは今でも重い。そんなところを気遣うのは日本人の良さですかね。
見た目の変化
時代を反映するマネキンは見た目もその時代、トレンドに合わせて変化して行きます。
その流れはリアルマネキン→スカルプチャー→ヘッドレスマネキン→抽象マネキン←イマココ
です。
傾向としてはヤングやカジュアルなブランドはトルソーが多くなってきていますが、百貨店系やミセスはマネキンが多いイメージですね。
それではマネキンの種類とそれぞれの見た目と特徴を画像と共に見て行きましょー。
・リアルマネキン
先ほどの七彩さんのリンク先を見ていただくと載っていますので画像はそちらでご確認を。
特徴は写真やデッサン、もしくはモデルをそのまま水槽に沈めて型取りをして作られた極めて本物の人間に近い形をしたマネキン。彩色(メイク、塗装)を施し、髪の毛も植毛してリアルに仕上げて使う。
打ち出したいイメージに合えばリアルな表現が出来るが今の店頭ではほとんどない。短期間での店頭打ち出しの変更サイクルではヘアメイクの頻繁な交換などに対応しづらくWDでの使用がメインとなっている。
・スカルプチャー
顔と髪が一体となったマネキン。リアルマネキンとは違い髪もFRP。現在も使っているブランドはあるけどちょっと限定的。クラシックなイメージで中々使い所が難しい。エトロ、UA、ラルフなどが使っている。最近では髪や顔が半抽象的に作られているモノもありそちらの方は抽象まではいかないが割と使われている。
・ヘッドレス
リアルや抽象のマネキンの顔から上を無くしたタイプ。顔からくるイメージの固定化を無くしているので使うブランドは選ばないがマネキンも店舗の「顔」としてブランドイメージの構築に一役買っていると考えると差別化やオリジナリティはない。店内PPとしては圧迫感も少なく使いやすいのでそちらで使われている事が多い。
・抽象マネキン
アブストラクトとも言う。現状の主流マネキンでどこのブランドを見ても大体これじゃないかな?
一言に抽象といっても、目鼻立ちの分かるモノから卵型の丸いつるんとしたものまでバリエーションは多い。様々なイメージを打ち出せるので本当に自分たちのブランドにあったモノを選べる目線が必要。
と、長くなってしまいましたが(これでも一節削った・・・)このシリーズもここまで。特に今回の内容は販売していく上では直接関係する事のない内容でしたが、洋服と共に進化してきた店舗の「顔」の歴史を知る事で少しでも愛着を持っていただき、愛を注いでいただければと思い書きました。
商品を愛すればその商品を自信を持って進める事ができ、自然と良く売れる事があるのではないでしょうか。それを「顔」にに対しても同様に愛を持つ事で魅力ある「顔」を作り、維持してお客様に商品を含めた店舗の「顔」として自信を持って進めていただきたい。
そうすることでお客様にトキメキとワクワク感を与え、売り上げに繋がる一つのツールとして活躍する事と思います。
みなさんが店頭に立つ際に自身の身だしなみをピカピカに磨いて恥ずかしくないようにしてお客様をお迎えするように店舗の「顔」も毎日お客様の前に立ちお迎えしている事を再認識いただき磨いてください。
そんな「顔」を愛して磨き上げ、魅力的にしていけばお客様の心を動かし売り上げは上がる!
と、言うお話でした。
それではまた来週。
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【サイトーのワンポイントVMD85】
色による時感覚暖色系は時間を長く感じと、逆に寒色系は短く感じる。暖かみがあり優しい内装で居心地の良い空間…のハズが実は逆に長くは居られない。なんて事も。
イスやテーブルなどの店内装飾品を選ぶ時はそのあたりにも気を使うとイイかも#VMD
— kaz(topseller.styleのVMD担当) (@kazusanvmd) October 16, 2018