こんにちは、タニグチレイです。
今まで革の鞣しや仕上げなどをいくつか書いてきました。
重要となる鞣しは原材料である皮を素材として使用できる革にすること。
その皮から革にする製造工程は多岐に渡ります。
そこで今回は今まで書いてきた内容がどこの工程に当てはまるのかを踏まえながら出来上がるまでを書いていきます。
各工程は技術を伴う重要なもので掛け合わせによって様々な革にすることができる
上記はクロム鞣しの製造工程例です。
大きく分けると準備工程から始まり鞣し工程、染色・加脂工程、仕上げ工程となっており全てを一貫して行うことは少ないです。
例えばタンナーと呼ばれる鞣しを行う業者で鞣された革を仕上げ専門で行う業者に依頼して目的に合わせた素材に仕上げる。
そうやって完成した革が製品に使用する目的に合わせて完成するんですね。
では各工程に分けて見ていきましょう。
準備工程
まずこの準備工程ではその名の通り鞣し工程まで必要な準備を行います。
原皮は輸送に必要な処理がされているだけなのでそのまますぐに鞣すことはできません。
例えば海外から輸入される革は塩漬けなどの防腐処理が施されて表皮側を内側にして重ねた状態にされます。
これは輸送の際に傷がつかないようにするためです。
国内産の革は輸送時間が短いため表皮側は外側にされていたりと違いはあります。
そこからざっくりと言えば防腐処理された皮を水分を補って生皮の状態に戻すところから始まり、余分な肉片や脂肪を取り除き石灰溶液で脱毛をしコラーゲン線維をほぐした後その石灰を取り除いて鞣しがしやすい状態にする。
と、かなり端折りましたがここの準備工程はまだ書いていないので今回はざっと流れを知っていただければ大丈夫です。
そして以前に書いたことあるのは皮と革の違いですがここの準備工程に含まれる内容もあるのでそちらも改めて読んでいただけると参考になるはずです。
鞣し工程
次はよく聞く鞣しという工程です。
この工程を終えてようやく皮は革になっていくんですね。
代表的なものは植物タンニン鞣し、クロム鞣し、コンビネーション鞣しがあるとお伝えしましたがそれぞれに良さがあります。
ドラムなどを使用して皮を鞣剤などの水溶液とともに温度やphを調整しながら行われます。
物理的な作用によって鞣剤を線維間に浸透させて化学反応を進行させる。
今回の例に挙げたクロム鞣しは早いものは24時間ほどで鞣しが完了します。
状況によって違えど数日で鞣しを終えられるのは他の工程の期間を含めるとかなりのメリットでしょう。
そして詳しくは以前に書いたものはそれぞれの鞣し方法について書いていますので参考にしてください。
染色・加脂工程
ここでは鞣し終えた革を希望の色に染色したり油脂を加えることで柔軟性を付与していきます。
特に再鞣しは求めている性質に近づけるために特性を変化させたり機能を付与したりするために大事な工程です。
多様化する製品に対応できるようになり使用する上で様々なメリットにつながります。
さらにこの後の仕上げで複数の作業が行われることになるのでこの工程は鞣し工程の一連と考えるといいかもしれませんね。
以前に書いたこちらの記事は染色と仕上げを混ぜて書いてますがここの工程で挙げておきます。
次の仕上げにも関連する内容も含んでいるので両方で参考にしていただければ良いかと思います。
仕上げ工程
最後は仕上げ工程ですがここは今までもいくつか書いてきました。
目的に応じて様々な工程があることは知っていただけたでしょう。
そしてその前に行われる乾燥ですがこれは染料や加脂剤を定着させるために自然乾燥させます。
長ければ4〜5日はかけて行われる大事な作業で革の質感に大きく関わってきます。
しかし乾燥後は線維が硬くなってしまうため味いれやステーキングという作業で適度な水分を含ませたり柔らかく揉みほぐします。
ここまで見てくると似たような作業を色々な工程で繰り返しているように思いませんか?
つまりは少ない工程で出来上がるものではなく何度も様々な工程を繰り返しながら時間をかけて目的に合わせた革が完成するんですね。
施設の規模も必要になりますしひとつ同じ作業でも天然素材ゆえ微妙に変わったりするでしょうから技術も要します。
どの工程も重要でそれぞれの掛け合わせで変わってくるのですね。
そして仕上げについて書いてきたものがいくつかあるので参考にしてください。
今回は製造工程を追うことで出来上がるまでの流れが少し想像してもらえたのではないでしょうか?
今後の記事でも工程の内容であった場合にどこに当てはまるのか照らし合わせてもらうと少し理解しやすくなるはずです。
その時はぜひまたこの記事をご覧ください。